はじめての資産形成ガイド

投資の複利効果とは 長期投資で資産を堅実に増やす仕組み

Tags: 複利効果, 長期投資, 資産形成, 投資初心者, 積立投資

貯蓄だけでは難しい資産形成

将来のために資産を増やしたいと考えているものの、銀行預金の金利だけではなかなか資産が増えないと感じている方も多いのではないでしょうか。投資に興味はあるけれど、何から始めて良いのか分からず、リスクも怖いと感じているかもしれません。しかし、堅実に資産を増やしていくためには、貯蓄に加えて「投資」の考え方を取り入れることが重要です。特に、長期的な視点で資産を育てていく上で理解しておきたいのが、「複利効果」と呼ばれる仕組みです。

本記事では、この複利効果がどのようなものなのか、そして長期投資と組み合わせることで、どのように資産形成を後押ししてくれるのかを分かりやすく解説します。複利の力を知ることは、堅実な資産形成への第一歩となるでしょう。

単利と複利の違い

まず、投資における「利回り」や「リターン」によって得られた利益の扱い方には、「単利」と「複利」の2種類があります。

例えば、100万円を年率5%で運用する場合を考えてみましょう。

単利の場合: * 1年後: 100万円 × 5% = 5万円の利益。元本は常に100万円。 * 毎年5万円ずつ利益が増え、10年後には元本100万円 + 利益5万円 × 10年 = 150万円となります。

複利の場合: * 1年後: 100万円 × 5% = 5万円の利益。元本は105万円になります。 * 2年後: 105万円 × 5% = 5.25万円の利益。元本は105万円 + 5.25万円 = 110.25万円になります。 * 3年後: 110.25万円 × 5% = 約5.51万円の利益。元本は約115.76万円になります。

このように、複利では運用期間が長くなるほど、利益自体が利益を生み出すため、資産の増え方が加速していきます。これは「雪だるま式に増える」と例えられることがあります。

複利効果が長期投資で威力を発揮する理由

複利効果の最大のメリットは、時間を味方につけることで、得られるリターンが加速度的に大きくなる点にあります。運用期間が短いうちは単利と複利で大きな差は生まれませんが、10年、20年、30年と運用期間が長くなるにつれて、その差は顕著になります。

先ほどの例で、100万円を年率5%で運用した場合の30年後の資産額を見てみましょう。

同じ年率5%でも、単利と複利では30年後には約182万円もの差が生まれます。これが複利の力であり、特に若い頃から長期で資産形成を始めることが推奨される理由の一つです。運用期間が長ければ長いほど、複利が働く期間も長くなり、より大きな資産を築く可能性が高まります。

複利効果を最大限に活かすポイント

複利効果を資産形成に活かすためには、いくつかのポイントがあります。

  1. 長期投資を前提とする: 複利の効果は時間の経過とともに大きくなります。数年といった短い期間ではなく、10年、20年、30年といった長期で運用することで、複利の恩恵を最大限に受けられます。
  2. 運用益を再投資する: 運用によって得られた分配金や売却益を、受け取らずに再び同じ、あるいは別の投資に回すことが重要です。これにより、複利の仕組みが機能します。多くの投資信託では、分配金を自動的に再投資するコースが用意されています。
  3. 定期的に積立を行う: 毎月一定額を積立投資することで、購入単価が平準化される効果(ドルコスト平均法)に加え、少額でも継続することで元本が着実に増えていきます。増えた元本が複利効果を高めることにつながります。新NISAのつみたて投資枠などは、この積立投資と複利効果を組み合わせるのに適した制度です。

手取り20万円からでも、例えば毎月1万円や2万円といった少額からでも積立投資を始めることは十分に可能です。重要なのは金額の大きさよりも、始めること、そして継続することです。少額でも長期にわたって複利で運用することで、将来的にまとまった資産を形成できる可能性が高まります。

まとめ

資産形成において、複利効果は非常に強力な味方となります。運用益を元本に加えて再投資することで、時間とともに資産が雪だるま式に増えていく仕組みです。特に長期投資と組み合わせることで、その効果は飛躍的に高まります。

堅実な資産形成を目指すのであれば、単利ではなく複利での運用を意識し、できるだけ早いうちから、少額でも良いので長期・積立投資を始めることを検討してみてはいかがでしょうか。まずはNISA制度などを活用した積立投資から、複利の力を実感してみてください。