投資リスクを抑える基本 初心者のための具体的な方法
投資におけるリスクとは何か
資産形成を始める際、「投資にはリスクがある」という言葉を耳にすることがあるでしょう。この「リスク」とは、一般的に「危険」という意味合いで捉えられがちですが、金融の世界では「リターンの振れ幅」、つまり不確実性のことを指します。投資した金額に対して、将来的にどれだけ増えるか(または減るか)の可能性の幅が大きいほど、リスクが高いと表現されます。
リスクにはいくつかの種類があります。代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 価格変動リスク: 株式や投資信託などの価格が、市場の様々な要因によって変動するリスクです。景気動向、企業の業績、政治情勢などが影響します。
- 金利変動リスク: 市場金利の変動が、債券価格やその他の金融商品の価値に影響を与えるリスクです。
- 為替変動リスク: 外国の資産に投資する場合、為替レートの変動によって円換算での価値が変動するリスクです。
- 信用リスク(デフォルトリスク): 投資先の企業や国が、元利金の支払いを滞納したり、できなくなったりするリスクです。
- 流動性リスク: 換金したいときに、市場での買い手が見つかりにくかったり、売却価格が大きく下がったりするリスクです。
これらのリスクを理解することは、投資を始める上で非常に重要です。しかし、リスクがあるからといって資産形成を諦める必要はありません。これらのリスクを適切に管理し、抑えるための方法が存在します。
堅実な資産形成のためのリスク管理の基本
手取り20万円から始める場合でも、これらのリスクを理解し、対策を講じることで、より安心して資産形成を進めることができます。以下に、初心者が実践できる基本的なリスク管理の方法を解説します。
1. 分散投資を実践する
「卵を一つのカゴに盛るな」という格言は、投資の基本中の基本です。特定の資産や地域に集中して投資するのではなく、複数の異なる種類の資産(株式、債券など)、異なる地域、異なる業種に分けて投資することで、どこか一つの資産が大きく値下がりした場合でも、全体の損失を抑える効果が期待できます。
投資信託は、あらかじめ様々な資産に分散投資されているため、手軽に分散投資を始めるのに適した金融商品と言えます。
2. 長期投資を心がける
短期的な市場の価格変動は予測が困難であり、リスクも高まります。しかし、経済は長期的に見れば成長を続ける傾向があります。数年、数十年といった長い時間をかけて投資を続けることで、短期的な価格変動の影響をならし、複利効果の恩恵を受けながら、リスクを抑えつつ資産が増えていく可能性が高まります。
3. 積立投資を活用する(ドルコスト平均法)
毎月一定額を継続して投資する方法を積立投資と呼びます。この方法では、価格が高い時には少ない量を買い、価格が低い時には多くの量を買うことになります。これにより、購入単価を平均化する効果が期待でき、高値掴みのリスクを避けることができます。これは「ドルコスト平均法」と呼ばれ、特に価格変動リスクを抑える上で有効な方法です。手取り20万円の中から無理のない範囲で、毎月少額からでも始めることが可能です。
4. 自分のリスク許容度を知る
自分がどれくらいのリスクを受け入れられるか、つまりリスク許容度を知ることは非常に重要です。年齢、収入、家族構成、将来の資金計画などによって、適切なリスク水準は異なります。リスク許容度を超えた無理な投資は、精神的な負担となり、市場が変動した際に冷静な判断ができなくなる可能性があります。自分が安心して続けられる範囲で投資を行うことが、長期的な成功につながります。
5. 投資対象について学び続ける
投資対象の仕組みや特徴、そしてそれに伴うリスクについて理解を深めることは、自身でリスクを管理する上で不可欠です。分からないものに投資するのではなく、書籍や信頼できるウェブサイトなどを通じて、知識を積み重ねることが大切です。
NISAやiDeCoを活用したリスク管理
新NISAやiDeCoといった非課税制度は、長期・積立・分散投資を促進する仕組みを備えており、税制優遇を受けながら効果的にリスクを抑えた資産形成を行うのに役立ちます。特に新NISAのつみたて投資枠やiDeCoは、毎月一定額を特定の投資信託に積み立てることで、自動的に長期・積立・分散投資が実践できるため、初心者にとってリスクを抑えつつ資産形成を始める有力な選択肢となります。
まとめ
投資には様々なリスクが伴いますが、それを正しく理解し、適切な方法(分散投資、長期投資、積立投資、リスク許容度の理解、学習)で向き合うことで、リスクを抑えながら堅実に資産を形成することが可能です。手取り20万円からでも、これらの基本的なリスク管理の方法を実践し、無理のない範囲で計画的に資産形成の一歩を踏み出してみましょう。