貯蓄と投資の違いとは 堅実な資産形成に投資が必要な理由
はじめに
将来のために資産を形成したいと考えたとき、まず「貯蓄」を思い浮かべる方が多いかもしれません。毎月の収入から一定額を銀行預金に回すことは、資産形成の基本の一つです。しかし、堅実な資産形成を目指す上で、「貯蓄」だけでは限界があることを理解することも重要です。そして、「投資」がなぜ資産形成において必要となるのか、その基本的な考え方を知ることが、賢くお金を増やすための第一歩となります。
この記事では、貯蓄と投資の基本的な違いを明確にし、現代において資産形成に投資を取り入れることがなぜ重要なのかについて解説します。手取り20万円からでも無理なく始められる、堅実な資産形成の考え方をお伝えします。
貯蓄の役割と限界
貯蓄、特に銀行預金は、元本が保証されており、いつでも必要な時に引き出すことができるという大きなメリットがあります。これは「安全性」と「流動性」に優れているため、緊急予備資金や近い将来に使う予定のある資金を置いておく場所として非常に適しています。
しかし、貯蓄には限界もあります。主な限界は以下の2点です。
- 金利が非常に低い: 現在の日本の銀行預金の金利は非常に低いため、預けているだけでは資産はほとんど増えません。
- インフレリスク: 物価が上昇することを「インフレーション(インフレ)」と呼びます。インフレが進むと、お金の「価値」は相対的に下がります。例えば、これまで100円で買えたものが110円になる場合、同じ100円で買えるモノの量が減ります。これは、お金そのものの額は変わらなくても、実質的な購買力が低下している状態です。貯蓄しているだけでは、資産の額は増えませんが、物価は上昇していく可能性があるため、将来的に資産の実質的な価値が目減りしてしまうリスクがあります。
投資の役割と可能性
一方、投資は、主に将来的なリターン(利益)を得ることを期待して、株式や債券、投資信託などの資産に資金を投じる行為です。投資には元本割れのリスクが伴いますが、貯蓄にはない可能性を持っています。
投資の主な役割と可能性は以下の通りです。
- 資産を増やす可能性: 投資対象の価値が上昇したり、配当金や利息を受け取ったりすることで、投じた資金を増やすことが期待できます。
- インフレへの対抗: 物価の上昇に合わせて、株式や不動産などの資産価値も上昇する傾向があるため、投資はインフレによる資産の実質価値の目減りを抑える手段となり得ます。
- 複利効果: 投資で得た利益を再び投資に回すことで、利益が利益を生むという「複利」の効果が期待できます。特に長期にわたって投資を続けることで、この複利の効果は大きくなります。
なぜ堅実な資産形成に投資が必要なのか
堅実な資産形成を目指す上で、貯蓄で「守る」ことと、投資で「増やす」こと、そして「インフレから守る」ことの両方の視点を持つことが重要です。
貯蓄は短期的な資金確保や緊急時の備えとして不可欠ですが、長期的な視点で見ると、低金利とインフレリスクにより資産の実質価値を維持・増加させることは難しい場合があります。
投資はリスクを伴いますが、長期的に行うこと、そして様々な資産に分散して投資すること(分散投資)によって、リスクを管理しながらインフレによる資産価値の目減りを抑え、資産を増やしていく可能性を高めることができます。
手取り20万円から始める場合でも、まずは生活防衛資金として一定額の貯蓄を確保した上で、無理のない範囲で少額からでも投資を始めることを検討する価値は十分にあります。毎月1万円や2万円といった少額でも、長期にわたって積立投資を行うことで、複利効果も相まってまとまった資産形成に繋がる可能性があります。
堅実な投資の考え方
堅実な資産形成のための投資は、短期的な価格変動に一喜一憂するのではなく、長期的な視点で行うことが基本です。また、一つの資産に集中投資するのではなく、国内外の様々な資産に分散して投資することで、リスクを低減することが一般的です。そして、一度に大きな金額を投資するのではなく、毎月一定額をコツコツと積み立てていく「積立投資」は、価格が高い時には少なく買い、価格が安い時には多く買うことになるため、高値掴みのリスクを避け、平均購入単価を抑える効果(ドルコスト平均法)が期待できます。
NISAやつみたてNISA、iDeCoといった制度は、これらの「長期・分散・積立」といった堅実な投資を行う上で活用しやすい仕組みとして設計されています。これらの制度を活用することで、税制優遇を受けながら効率的に資産形成を進めることが期待できます。
まとめ
貯蓄は資産の安全性と流動性を確保するために重要ですが、低金利とインフレリスクを考慮すると、長期的な資産形成においては投資の役割も不可欠です。投資はリスクを伴いますが、長期・分散・積立といった堅実な方法で取り組むことで、資産を増やし、インフレから守る可能性を高めることができます。
手取り20万円からでも、まずは貯蓄で安心できる土台を作り、その上で無理のない範囲から少額で投資を始めることが、将来に向けた堅実な資産形成の第一歩となります。貯蓄と投資、それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合わせてバランス良く活用していくことが、賢くお金を育てていく鍵となるでしょう。
次に、具体的にどのような方法で投資を始めることができるのか、NISAやつみたてNISAといった制度について情報収集を始めてみることをお勧めします。