はじめての資産形成 信頼できる金融情報の見極め方と活用法
資産形成の情報過多時代 信頼できる情報を見つける重要性
インターネットの普及により、資産形成に関する情報は以前と比較にならないほど豊富になりました。NISAやiDeCoといった制度、投資信託や株式などの金融商品について、様々な情報が日々発信されています。
しかし、情報量が多いことは、同時に何が正確で信頼できる情報なのかを見分けることが難しいという側面も持ち合わせています。特にこれから資産形成を始めようと考えている方にとって、どの情報を信じれば良いか迷ってしまうこともあるかもしれません。
不確かな情報や偏った情報に基づいて資産形成を進めてしまうと、本来期待できた成果が得られなかったり、予期せぬリスクに直面したりする可能性もあります。堅実な資産形成を進めるためには、信頼できる情報源を見つけ、それを適切に活用することが非常に重要です。
この章では、数ある金融情報の中から、どのようにして信頼できる情報を見極め、自身の資産形成に役立てていくかについて解説します。
なぜ信頼できる情報源を選ぶ必要があるのか
誤った金融情報は、資産形成においていくつかの問題を引き起こす可能性があります。
まず、損失のリスクを高める可能性があります。「必ず儲かる」「〇〇すれば誰でも簡単に利益が出せる」といった根拠のない情報に惑わされ、高いリスクの商品に手を出してしまったり、詐欺的な投資話に巻き込まれてしまったりするケースも存在します。
次に、機会損失に繋がる可能性です。せっかく資産形成に関心を持ったのに、誤った情報によって不安を煽られたり、「自分には難しい」と思い込んでしまったりすることで、行動を起こせなくなってしまうことがあります。本来であれば、少額からでも堅実に資産を増やしていく機会があったにも関わらず、その機会を逃してしまうことになります。
また、遠回りをしてしまう可能性も考えられます。非効率な方法を選んでしまったり、自身の目標やリスク許容度に合わない商品を選んでしまったりすることで、目標達成までに余計な時間や労力がかかってしまうこともあります。
これらのリスクを避け、着実に資産を形成していくためには、確かな情報に基づいて判断し、行動することが不可欠です。
信頼できる金融情報源を見極めるチェックポイント
数多く存在する金融情報の中から、信頼できる情報源を見つけるためには、いくつかのチェックポイントがあります。
1. 発信者の信頼性・専門性
- 公的機関: 金融庁、日本銀行、日本証券業協会などが発信する情報は、制度の概要や市場全体の動向など、客観的で信頼性が高いと言えます。
- 金融機関: 銀行や証券会社が提供する情報は、商品に関する詳しい説明などが得られます。ただし、自社の商品に誘導する意図が含まれている可能性も考慮に入れる必要があります。
- 独立系ファイナンシャルプランナー(FP): 特定の金融機関に属さず、顧客の立場に立ってアドバイスを提供するFPもいます。資格(FP技能士、CFP®など)や実績を確認することが大切です。
- 信頼できるメディア: 経済誌、新聞、大手ニュースサイトなどが発信する情報は、専門の記者が取材・執筆しており、一定の信頼性があると考えられます。
- 書籍: 長年の知見が集約されており、体系的に学ぶことができます。ただし、情報の鮮度には注意が必要です。
- 専門家のブログやSNS: 個人の見解や経験に基づいた情報が含まれる場合があります。その専門家の経歴や所属、発信内容の傾向などを確認し、あくまで参考情報として捉える姿勢が重要です。
2. 情報の根拠と客観性
- 出典が明記されているか: 統計データや調査結果などが示されている場合、その出典(情報源)が明記されているか確認しましょう。出典をたどることで、情報の正確性を検証できることがあります。
- 公平な視点か: 特定の金融商品や特定の投資手法だけを過度に推奨していないか確認しましょう。メリットだけでなく、デメリットやリスクについても公平に説明されている情報源は信頼性が高いと言えます。広告や宣伝色の強い情報は注意が必要です。
- 断定的な表現がないか: 「絶対に儲かる」「間違いなく値上がりする」といった断定的な表現は、金融の世界ではあり得ません。不確実性を踏まえた上で、可能性やリスクについて説明している情報源を選びましょう。
3. 情報の鮮度
金融制度や市場環境は変化します。特にNISAやiDeCoといった制度は改正されることがあります。提供されている情報が最新のものであるか、更新日が記載されているかなどを確認することも重要です。
信頼できる情報をどう活用するか
信頼できる情報源を見つけたら、それを自身の資産形成にどのように活用していくかが次のステップです。
1. 複数の情報源で比較検討する
一つの情報源だけでなく、複数の異なる情報源から情報を得ることを心がけましょう。異なる視点から同じテーマについて学ぶことで、よりバランスの取れた理解を深めることができます。例えば、制度概要は公的機関のサイトで確認し、具体的な商品の特徴は金融機関のサイトや書籍で学ぶ、といった方法があります。
2. 自身の状況に照らし合わせる
得た情報が、自分自身の状況(現在の収入・支出、将来の目標、家族構成、リスクに対する考え方など)に合っているかを常に考えながら読み進めましょう。一般的な情報であっても、それが自分にとって最適かどうかは異なります。
3. インプットとアウトプット、そして実践
情報を得るだけでなく、自分自身の言葉で内容をまとめてみたり、学んだことを誰かに説明してみたりすることで、理解はより定着します。そして、最も重要なのは、少額からでも良いので、実際に資産形成の第一歩を踏み出し、経験を通じて学ぶことです。実践することで、机上の知識が自分自身の力になります。
4. 定期的な見直しとアップデート
資産形成は一度情報を得たら終わりではありません。社会情勢や自身のライフステージの変化に合わせて、定期的に情報を見直し、知識をアップデートしていくことが、長期的な成功に繋がります。
まとめ
堅実な資産形成を進める上で、正確で信頼できる金融情報にアクセスできることは非常に重要です。情報過多な時代だからこそ、情報源の発信者、情報の根拠や客観性、鮮度といった点をチェックし、信頼できる情報を見極める力を養うことが求められます。
そして、得た情報をただ鵜呑みにするのではなく、複数の情報源で確認し、自身の状況に照らし合わせながら、主体的に活用していく姿勢が大切です。まずは一歩踏み出し、学びと実践を繰り返しながら、着実に資産形成を進めていきましょう。