はじめての資産形成ガイド

手取り20万円から投資を始める前に 確保しておきたい生活防衛資金とは

Tags: 資産形成, 投資準備, 生活防衛資金, 家計管理, 初心者向け

堅実な資産形成は準備から始まります

将来のために資産を増やしたいと考え始めたとき、NISAやiDeCoといった制度に関心が向かうことは自然な流れです。しかし、いきなり投資を始める前に、整えておきたい大切な土台があります。それは、万が一の事態に備えるための「生活防衛資金」の確保です。

貯蓄はしているものの、いざという時に頼れるお金が手元にないと、不安を感じながら投資をすることになります。最悪の場合、急な出費に対応するために、運用中の資産を損失覚悟で売却しなければならない状況に陥る可能性もあります。堅実な資産形成の第一歩は、安心して投資を続けられる環境を整えることから始まります。

この記事では、手取り20万円からでも無理なく、投資を始める前に確保しておきたい生活防衛資金について、その重要性や目安、具体的な確保方法を解説します。この記事を読むことで、投資に対する漠然とした不安を減らし、より堅実な資産形成のスタートを切るための具体的な準備方法を理解することができます。

なぜ投資を始める前に生活防衛資金が必要なのか

投資は、将来の資産を増やすための有効な手段ですが、元本が保証されているわけではありません。株価や投資信託の基準価額は日々変動し、時には大きく下落することもあります。

このような価格変動がある金融資産で運用している状態で、病気や怪我による休職、予期せぬ大きな支出(例: 家電の故障、冠婚葬祭、実家への経済的支援など)が発生した場合を考えてみてください。手元に現金がなければ、これらの費用を捻出するために、運用中の投資資産を売却せざるを得なくなる可能性があります。

特に、資産価格が下落している局面で売却せざるを得ない場合、損失を確定させてしまうことになります。これは、長期的な資産形成を目指す上で避けたい状況です。

生活防衛資金とは、このような予期せぬ出費や収入減少に対応するための、すぐに引き出せる現金のことを指します。この資金があることで、精神的な安心感が得られるだけでなく、投資資産を不本意なタイミングで売却するリスクを回避し、計画通りに長期投資を続けることが可能になります。

生活防衛資金の目安はどのくらいか

生活防衛資金として確保しておくべき金額に明確な決まりはありませんが、一般的には「生活費の3ヶ月〜6ヶ月分」が一つの目安とされています。会社員で、比較的雇用が安定している場合は3ヶ月分程度、自営業者やフリーランスなど収入が不安定になりやすい場合は6ヶ月分以上を目安にすると良いでしょう。

手取り20万円の場合、生活費が仮に月15万円かかるとすると、3ヶ月分で45万円、6ヶ月分で90万円となります。この金額を一度に用意するのが難しく感じるかもしれませんが、これはあくまで目安です。現在の貯蓄額や今後の収入見込み、働き方などを考慮して、ご自身の状況に合った金額を設定することが重要です。

最初から完璧な金額を目指す必要はありません。まずは1ヶ月分、次に3ヶ月分と、段階的に目標を設定し、コツコツ貯めていくことも有効な方法です。重要なのは、「何かあったときに、当面の生活や急な出費をまかなえるだけの、すぐに使えるお金がある」という状態を目指すことです。

生活防衛資金の確保方法

生活防衛資金は、必要な時にすぐに引き出せる形で保有しておく必要があります。そのため、投資に回すのではなく、以下の方法で確保するのが一般的です。

これらの金融機関の口座のうち、普段使いの口座とは別に、生活防衛資金専用の口座を作って管理することをおすすめします。こうすることで、生活費と混同することなく、必要な金額が確保されているかを確認しやすくなります。

手取り20万円から始める場合、まずは毎月の収入から一定額を生活防衛資金用の口座に自動で振り分ける仕組みを作ることから始めると良いでしょう。例えば、毎月1万円や2万円など、無理のない範囲で着実に積み立てていくことが大切です。

生活防衛資金以外の準備

生活防衛資金の確保と並行して、投資を始める前に確認しておきたい点がいくつかあります。

これらの準備が整うことで、安心して投資の世界へ第一歩を踏み出すための土台が築かれます。

準備が整ったら次のステップへ

生活防衛資金の確保や借金の整理、家計管理の習慣化といった準備が整ったら、いよいよ具体的な投資の検討に進みましょう。

堅実な資産形成を目指す上では、NISAやiDeCoといった税制優遇のある制度を活用した積立投資が有効な選択肢となります。少額からコツコツと長期で積み立てることで、リスクを抑えながら複利の効果を活かした資産形成が期待できます。

具体的な制度や金融商品については、このサイトの他の記事でも詳しく解説しています。(関連: 新NISAのつみたて投資枠 初心者が知っておきたい基本と始め方投資信託の基本 種類と選び方を分かりやすく解説 など)

焦らず、まずは「守り」のお金をしっかりと準備し、その上で「増やす」ための一歩を踏み出していくことが、手取り20万円から始める堅実な資産形成の鍵となります。

まとめ

投資を始める前に生活防衛資金を確保することは、堅実な資産形成のために非常に重要です。

これらの準備をしっかり行うことで、安心して長期的な視点での資産形成に取り組むことができます。まずは無理のない範囲で、今日から準備を始めてみてください。