手取り20万円から無理なく始める積立投資 具体的な金額の決め方と継続のコツ
はじめに
家計管理を通じて、毎月の収入と支出の状況が把握できるようになった後、次のステップとして資産形成のために積立投資を始めたいと考える方は多いでしょう。しかし、「手取り20万円から始めて、一体いくらを投資に回せるのだろう」「どのように設定すれば、無理なく続けられるのだろう」といった疑問をお持ちかもしれません。
資産形成は一朝一夕にできるものではなく、長期にわたって続けることが重要です。そのためには、ご自身の家計状況に合った無理のない金額を設定し、継続できる仕組みを作ることが成功の鍵となります。
この記事では、手取り20万円程度の収入からでも堅実に積立投資を始めるための具体的な金額設定の考え方と、長期にわたって積立を継続するための具体的なコツについて解説します。
手取り20万円からの積立投資金額設定の考え方
積立投資を始めるにあたり、まず考えるべきは「毎月いくらを投資に回すか」です。手取り20万円という収入の中で、無理なく継続できる金額を見つけることが重要です。
1. 生活防衛資金の確保
投資に回すお金とは別に、万が一の病気や失業に備えるための「生活防衛資金」が必要です。一般的に、生活費の3ヶ月から6ヶ月分程度が目安とされています。この資金は普通預金など、すぐに引き出せる形で確保しておくことが推奨されます。積立投資を始める前に、まずはこの生活防衛資金が十分に確保できているか確認しましょう。まだ不十分な場合は、まずは貯蓄を優先することも堅実なステップです。
2. 無理のない金額から始める
生活防衛資金を確保した上で、次に積立に回せる金額を検討します。家計管理の結果を踏まえ、毎月固定で積立に回せる金額を決めます。最初は少額から始めるのが良いでしょう。例えば、月5,000円や10,000円といった金額でも、長期で継続すれば複利効果によって着実に資産を増やすことが期待できます。無理な金額を設定して、途中で家計が苦しくなり積立を停止する事態は避けるべきです。
手取り収入に対する投資額の目安として、「手取り収入の10%〜20%」といった考え方もありますが、これはあくまで一般的な目安です。ご自身の家計状況(家賃、食費、通信費、交際費など)を正確に把握し、無理なく捻出できる金額を設定することが何よりも重要です。
3. NISA制度の活用を視野に入れる
積立投資を行う際には、NISA(少額投資非課税制度)の活用を検討しましょう。特に2024年から始まった新NISA制度の「つみたて投資枠」は、年間120万円(月10万円)まで非課税で投資できる枠が設けられています。手取り20万円から毎月10万円を投資に回すのは現実的ではないかもしれませんが、この枠を活用することで、投資から得られる利益にかかる税金(通常20.315%)をゼロにすることができます。
仮に毎月1万円を積立に回す場合、年間12万円となり、これはつみたて投資枠の上限である120万円の中に十分に収まります。まずはご自身の捻出可能な金額に合わせて、NISAの非課税メリットを最大限に活かせるように積立金額を検討するのが賢明です。
積立投資を継続するための具体的なコツ
積立投資は「続けること」が非常に重要です。始めたものの、途中で挫折してしまうことのないよう、継続するための具体的なコツを押さえておきましょう。
1. 自動積立の設定を活用する
多くの証券会社や金融機関では、毎月指定した日に、指定した金額を自動で引き落とし、投資信託などを買い付ける「自動積立サービス」を提供しています。このサービスを利用することで、手動で買い付けを行う手間が省け、「積立を忘れていた」「面倒になってしまった」といった事態を防ぐことができます。一度設定すれば、自動で継続されるため、心理的な負担も軽減されます。
2. 長期・分散投資の視点を持つ
投資の世界では価格が変動します。積立期間中に一時的に含み損を抱えることもあるかもしれません。しかし、重要なのは短期的な価格変動に一喜一憂しないことです。積立投資は、価格が高い時には少なく買い、安い時には多く買う「ドルコスト平均法」の効果も期待でき、長期的に見ればリスクを抑えながら平均購入単価を平準化する効果が期待できます。
多様な資産や地域に分散して投資を行うこと(分散投資)も、リスクを軽減する基本的な戦略です。長期的な視点で、淡々と積立を継続することが、将来の資産形成につながります。
3. 定期的な見直しと柔軟な対応
一度決めた積立金額や投資対象も、数年に一度はご自身のライフステージの変化(収入の増減、結婚、住宅購入など)に合わせて見直すことが推奨されます。収入が増えれば積立金額を増額することも検討できますし、大きな支出が見込まれる場合は一時的に減額・停止することも選択肢の一つです。状況に合わせて柔軟に対応することで、無理なく長期的な継続が可能になります。
4. 資産状況を定期的に確認する
積立投資の状況を全く確認しないのも考えものですが、頻繁に見すぎるのも精神的な負担となる場合があります。月に一度や数ヶ月に一度など、ご自身にとって負担にならない頻度で資産状況を確認することをお勧めします。資産が増えていることを実感できれば、継続のモチベーションにも繋がります。多くの証券会社のアプリやウェブサイトで、現在の評価額や運用損益を簡単に確認できます。
まとめ
手取り20万円から始める積立投資は、決して難しくありません。大切なのは、まず生活防衛資金を確保した上で、ご自身の家計状況に合わせて無理のない積立金額を設定することです。月5,000円や10,000円といった少額からでも、自動積立を活用し、長期・分散投資の視点を持って継続することで、着実に資産を形成していくことが可能です。
積立を継続するためのコツとして、自動積立設定の活用、長期・分散投資の意識、定期的な見直し、そして適度な頻度での資産状況確認を実践してみてください。
家計管理で家計の「見える化」ができたら、次は勇気を出して一歩踏み出し、無理のない金額から積立投資を始めてみましょう。その一歩が、将来の豊かな生活に繋がる堅実な資産形成の始まりとなります。